2017年11月号<副業・兼業の労務管理>


2016年9月に発足した「働き方改革実現会議」や、本年10月に発足した「柔軟な働き方に関する検討会」において、副業・兼業の普及に向けた議論が進められています。

そもそも、企業は、社員の就業時間外の副業・兼業を、合理的な理由なしに規制することはできません。しかしながら、多くの企業は、「本業に支障を来たす」「情報漏えいや競業のリスクがある」「社員の労働時間管理や健康管理が難しい」といった理由から、就業規則などでこれを禁止してきました。

近年、人材不足が深刻化するにつれて、社員の副業・兼業を容認したり、雇用という形態をとらずに人材を活用したりする企業は増加傾向にあります。そのような企業では、どのような条件を設定し、どのような点に気を付けて運用しているのでしょうか。

本号では、「副業・兼業の労務管理」を特集しています。




解説編
1 副業・兼業の現状と課題

・副業・兼業を容認している企業割合
・副業・兼業を容認している理由、禁止している理由
・副業・兼業の効果と懸念事項(企業と従業員にとって)
・副業・兼業容認にあたっての労働時間規制、健康配慮義務、社会保険・労働保険、モデル就業規則などのネック
・副業・兼業の今後の方向性

2 副業・兼業をめぐる法的留意点
 (井上克樹法律事務所 弁護士 井上克樹)
・副業・兼業は法律で規制されているか
・副業・兼業を禁止する就業規則は有効か
・パート・アルバイトにも副業・兼業を禁止できるか
・副業禁止条項に違反するケースとは
・副業・兼業における時間外労働と割増賃金の扱い
・副業・兼業と労災保険
・副業・兼業による長時間労働・健康増悪



事例編
1 副業制度の導入と運用〜潟Oロービスのケース
・副業制度の導入の背景
・導入にあたっての議論のポイント
・副業をする上でのルール
・これまでの実績と副業の事例


2 フリーランス人材との協業〜インフォテリア鰍フケース
・フリーランス人材との協業のスタンス
・仕事の進め方と工夫
・成果指標
・これまでの効果



資料編
1 企業の副業容認とフリーランス人材活用の実態

・産業別に見た副業・兼業の容認状況
・副業・兼業に関する就業規則の有無
・副業・兼業を行う際に会社から要求する条件
・フリーランス人材の活用状況
・フリーランス人材の活用による効果
・フリーランス人材に求める能力・スキル


2 個人の副業等の実態
・副業への興味
・副業経験の有無
・副業の内容
・副業に費やしていた時間
・副業で得た収入



判例編
副業をめぐるトラブル

・同時通訳の兼職をしていた大学教授の解雇
・従業員のアルバイトを理由とする解雇
・労災休職中に自営業を始めた社員の解雇



連載編

賃金の諸相(明治学院大学 名誉教授 笹島芳雄)
第14回 働き方改革と賃金(6)