2021年3月号<労働法制の改正動向>


2021年にも、人事・労務管理に関連する労働関係諸法令の改正がいくつか行われます。

例えば、70 歳までの就業確保措置の努力義務や、同一労働同一賃金の中小企業適用、障がい者雇用の法定雇用率の引き上げなど、年齢・雇用形態・性別・障がいの有無などによる不当な差別を排し、一人ひとりに見合った働き方と処遇を実現することが、企業に求められます。企業規模に応じて適用が猶予されているものもありますが、計画的に準備を進めておくことが必要です。

本号では、「労働法制の改正動向」を特集しています。





解説編

1 70歳までの就業機会の確保(高年齢者雇用安定法)

○70歳までの就業機会の確保を努力義務とする改正高年齢者雇用安定法が2021年4月1日より施行される。



2 同一労働同一賃金の実現(パートタイム・有期雇用労働法)

○同一労働同一賃金の実現のための法改正のうち、『パートタイム・有期雇用労働法』の改正が、2021年4月1日より、中小企業にも適用される。



3 法定雇用率の引き上げ(障害者雇用促進法)

○民間企業の法定雇用率が、2021年3月1日から2.3%に引き上げられる。



4 パワハラ防止措置(労働施策総合推進法)

○職場におけるハラスメント防止対策が、中小事業主に対しても2022年4月1日より義務化される。



5 女性活躍に関する行動計画の策定・情報公開(女性活躍推進法)

○女性の活躍に関する一般事業主行動計画の策定や情報公表の義務が、2022年4月からは、101人以上の事業主まで拡大される。



6 法定割増賃金率の引き上げ(労働基準法)

○中小企業に適用されてきた「月60時間を超える時間外労働割増率50%以上の猶予」が2023年4月1日より廃止される。



7 看護休暇・介護休暇の時間単位取得(育児・介護休業法)

○これまでは半日単位でしか取得できなかった子の看護休暇・介護休暇が2021年1月1日より時間単位で取得できるようになった。





判例編

正社員に賞与を支給する一方でアルバイトに支給しないことは不合理か




コロナストレス

連載編

賃金の諸相(明治学院大学 名誉教授 笹島芳雄)
第53回 コロナ危機と労働・雇用・賃金(10)