2021年6月号<服務規律と懲戒処分>


問題社員とは、一般的に、情意(職務態度・行動)・能力(習得能力・習熟能力)・仕事(職務・成果)のいずれかの側面において、著しく会社の期待を下回り、会社に迷惑をかける社員を指します。問題社員の存在は、職場のモラール低下、生産性の低下、ブランド棄損など、会社にダメージを与えます。


問題社員に対しては、注意やあ指導を行い、まずは改善を促します。能力面や仕事面だけの問題であれば、改善される可能性は大いにあります。しかし、情意面に問題がある場合は、厄介です。「職場の規律を守らない」「自分の役割を全うする責任感がみえない」「チームや仲間を思いやる協調性がみえない」「もっと会社の役に立とうという積極性がみえない」というのは、本人の意識不足の表出です。この意識不足が、「自己中心性」(他人を尊重しない)、「唯我独尊性」(間違っているのは常に他人だと認識する)」、「他罰性」(他人を攻撃・無視する)といったパーソナリティレベルでの未熟さに起因している場合は、反省・改善に至るのはなかなか難しいでしょう。


注意・指導後も反省・改善がみられない場合は、企業防衛のために、適切に処分できるルールを備えておかなくてはなりません。

本号では、「服務規律と懲戒処分」を特集しています。




解説編

1 服務規律と懲戒規定 

○服務規律の定め
・職場環境維持の遵守事項の例
・職務専念の遵守事項の例
・信用・信頼維持の遵守事項の例
・情報管理の遵守事項の例

〇懲戒処分の定め
・懲戒処分の種類
・懲戒事由の内容
・懲戒事由と処分の対応例




2 問題社員をめぐる法的留意点 

○業務命令に従わない社員を懲戒処分できるか?
〇転勤命令を拒否する社員を処分できるか?
〇懲戒処分をする場合、本人の弁明を聞く必要はあるか?
〇いじめや嫌がらせを繰り返す社員を処分できるか?
〇就業規則等で社内恋愛を禁止することは可能か?
〇会社のアドレスで私用メールをしている社員を処分できるか?
〇インターネットに会社の悪口を書き込んでいる社員を処分できるか?
〇感染症の疑いがあるのに出社する社員を処分できるか?
〇マイナス情報を隠す社員、それをかばう管理職を処分できるか?
〇昇進後、部下指導に問題があったり、実績を上げられなかったりする社員を降職させることはできるか?




資料編

懲戒処分の実態

○職場の人間関係に難しさを感じる理由
〇懲戒処分の規定の有無
〇懲戒処分制度の種類ごとの有無
〇懲戒処分の実施状況
〇懲戒処分の対象者との紛争の有無





判例編

問題社員の解雇をめぐるトラブル

○反抗的な態度を繰り返し、改善の意欲が見られない従業員の解雇
〇協調性が欠如し、指示・指導に従わない従業員の解雇
〇マネージャーとしての資質・能力が欠如している従業員の解雇



コロナストレス

連載編

賃金の諸相(明治学院大学 名誉教授 笹島芳雄)
第56回 コロナ危機と労働・雇用・賃金(13)