2023年11月号<2023標準生計費と物価指数>

1990年代終わりから、我が国の物価は長らく安定していました。しかし、ポストコロナ時代に入った現在、ロシアのウクライナ侵攻などによる燃料・資源価格の高騰、欧米の金融引き締めなどによる円安が進行しています。それらの影響で、我が国の消費者物価指数はどんどん上昇し、逆に実質賃金はどんどん低下しています。生産性が低下していないのに、実質賃金が低下している状況は、公正だとは言えません。

「公正な賃金」とは、仕事・役割・成果などに相応の賃金であること(労働対価の原則)、能力・職業意識・フレキシビリティなどに相応の賃金であること(労働力対価の原則)、健康で文化的な最低限度の生活を営むに足る賃金であること(生活保障の原則)の“3原則”に準拠したものです。

2023年8月の消費者物価指数(総合)は106.2(2020年=100.0)と前年同月比3.0%上昇した一方で、「決まって支給する給与」の名目賃金は102.6(2020年=100.0)と前年同月比1.2%上昇に留まっています。

本号では、最新の「標準生計費と物価指数」を特集しています。





資料編

地域別の生計費と物価指数




判例編

職員・嘱託職員間の基本給・賞与等の待遇差は不合理か




コロナストレス

連載編

賃金の諸相(明治学院大学 名誉教授 笹島芳雄)

第85回 日本の賃金、アメリカの賃金(19)