2025年8月号<職場トラブルの解決制度>


職場で生じるトラブルの多くは、当事者間の認識のズレや対話不足によって深刻化していきます。2024年度の「個別労働紛争解決制度の施行状況」によれば、総合労働相談件数は5年連続で120万件を超え、その内容としては「いじめ・嫌がらせ」「自己都合退職」などが依然として上位を占めています。

働き方の選択肢が広がる中、働く人々の価値観や職場への期待も多様化し、企業にとっては対応に苦慮する場面が増えています。そこで、労使間のトラブルを円満かつ迅速に解決する手段として、「個別労働紛争解決制度」が重要な役割を果たしています。この制度は労働者側だけでなく、企業側からの申請でも利用が可能です。

本号では、制度の概要や活用事例、労使コミュニケーションの実態などの情報や調査結果をもとに、実務上の対応策を整理しました。制度の仕組みや有効な活用法を理解し、そのことがトラブルの長期化や訴訟リスク回避の一助となれば幸いです。




解説編

1.個別労働紛争に応える3つの制度

2.実情解決を導く労働審判制度



事例編

職場トラブルの実態と助言・指導やあっせんによる調整



資料編

1.個別労働紛争解決制度の実施状況

2.企業から見た労使対話の実態

3.労働者から見た労使対話の実態



判例編

1.
セクハラ言動を理由とした雇止めは違法か

2.配転命令を拒否し続けたことによる解雇は違法か

3.退職の意思表示の撤回は無効か




コロナストレス
連載編

新時代の労働と賃金 (明治学院大学 名誉教授 笹島芳雄)

第6回 大学の世界と教授の賃金(3)