2025年10月号＜人材強化の実態と課題＞

企業にとっての切実な経営課題の一つに「人材強化を続行する仕組みをいかに築いていくか」ということがあります。労働力人口の減少による採用難は解消の兆しがなく、新卒一括採用や中途採用といった外部補充の手法は限界を迎えつつあります。「今いる人材をいかに成長させ、能力をいかに最大限引き出すか」が経営の生命線となっています。 また、技術革新の加速やDXの浸透は、既存業務の姿を一変させ、従来のスキルの価値を陳腐化させかねない状況です。 このような環境下で企業競争力を維持していくためには、既存人材を計画的に育成し、リスキリングを通じて常に能力を更新し続けることが必要不可欠です。そのための教育や研修は、経営戦略の核心的要素であり、経営陣自らが積極的に関与すべき領域となっています。 これらを踏まえ本号では、人材強化の経営上の位置付け、人的資本経営の視点、社員教育の最新動向、さらには助成金制度までを多角的に取り上げました。今後、企業と個人が人材強化にいかに向き合っていくべきか――その検討の一助となれば幸いです。 解説編 １．経営課題に占める人材強化の重み ２．企業価値を高める人的資本経営 ３．DX時代と働き方改革に対応する社員教育のあり方 ４．人材育成に活用できる助成金 資料編 １．企業の人材育成の実態 ２．従業員自身の学習状況の実態 判例編 １．資格取得費用返還と退職の自由 ２．修学資金貸与と退職の自由

連載編

新時代の労働と賃金　（明治学院大学　名誉教授　笹島芳雄）

第8回　女性活躍推進法と有価証券報告書