2025年12月号
<2025賃金改定の総括と2026の論点>


2026年の賃金改定を検討する時期が近づいてきました。それにあたっては、まず2025年の賃金改定を正確に総括し、その上で環境変化を踏まえた2026年の論点を見極めることが必要です。

2025年は、所定内賃金の改定額・改定率がいずれも近年で最高水準となり、賃上げは全国的な広がりを見せました。その中で企業は、物価上昇、人材確保競争、最低賃金の大幅引上げ、労働市場の流動化など、多様な圧力への同時対応を迫られています。

こうした状況下、連合が掲げる実質賃金の回復、人的投資の強化、職務・役割に応じた適正処遇などの方向性は、「持続可能な賃上げ」という企業側の課題とも重なります。また、初任給の上昇や中小企業の積極的な賃金改定が進む一方、内部バランスの調整、総額人件費管理との両立、定期昇給の再定義といった実務的な検討課題も顕在化してきました。さらに、判例が示す「制度改定・降格・定昇慣行をめぐる合理性と手続の重要性」も、賃金制度を見直す上で軽視できない観点となっています。

本号では、2025年の賃金改定の実態、春季労使交渉の妥結結果、地域別・産業別の動向、初任給水準を整理し、2026年に向けた主要論点を提示しました。貴社の賃金改定の検討にお役立ていただければ幸いです。



資料編

1.中小企業の2025賃上げ

2.2025賃金改定の実態

3.2025賃上げ妥結結果

4.2025初任給



解説編

1.「未来づくり春闘」の課題と展望

2.2026春季生活闘争における賃金改定の焦点



判例編

1.定期昇給停止を含む賃金制度改定は有効か

2.管理職から非管理職への降格に伴う賃金減額は有効か

3.長年続いた定期昇給は労使慣行として保護されるか


コロナストレス

連載編

新時代の労働と賃金 (明治学院大学 名誉教授 笹島芳雄)

第10回 女性の活躍と企業経営